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あん摩マッサージ指圧の教育と安全性に関するガイドライン

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  • もくじ、はじめに、目的、あん摩マッサージ指圧の用語と定義

    はじめに、目的
    患者中心の医療を目指す統合医療が世界的潮流として拡がる中、日本の伝統医療の一分野である按摩、マッサージ、指圧ならびに柔道整復師などの手技療法が再評価されつつあり、関心を高めている。この様な世界情勢を鑑み、日本のあん摩マッサージ指圧のガイドラインを作成する意義は大きいと判断し、日本のあん摩マッサージ指圧師養成に関わる教育関係者が協議し、本ガイドライン作成に着手した。

  • Ⅰ.1. 日本における手技療法の成立と発展

    1)序論
    あん摩術、マッサージ術、指圧術及び柔道整復術の手技療法は、法律で認められている。その背景には、我が国における手技療法の歴史がある。
    2)歴史
    (1)あん摩の伝来 中国最古の医学書「黄帝内経」(B.C.200年頃)に発し、5~6世紀にかけて日本に伝えられた。ただ実用としてあん摩が地域社会に根を下ろすのは、17世紀中期以降とされる。

    (2)あん摩教育の萌芽 日本におけるあん摩教育は主に盲人に対する職業福祉として芽生え、発展を遂げた。盲目の指導者、杉山和一(1610-1694)が盲人の職業教育として体系づけた。

    (3)あん摩教育の近代化と病院マッサージ師の誕生 近代的教育として、盲学校にて西洋医学を基盤とした教育が始まった。1891年には日本発の病院マッサージ師が誕生している。

    (4)営業免許制度の確立 明治政府は「按摩術営業取締規則」(1911)を制定し、あん摩営業を許可制にした。

    (5)身分法の確立と資質の向上 戦後のGHQの民主化計画の下で、戦前に作られた法律は効力を失う。この様な状況の中1947年「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が成立し都道府県知事免許となった。また1988年「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などに関する法律」の抜本改正を行い、厚生労働大臣免許となった。

  • Ⅰ.2. あん摩マッサージ指圧の基本理論
    1)基本理論と2)治効理論
    あん摩は、疾病の予防及び治療、あるいは健康の保持増進の目的で、徒手により一定の方針に従って、衣服の上から遠心性に施術する技術である。 マッサージは、疾病の予防及び治療、あるいは健康の保持増進の目的で、徒手で、一定の手技・方式により、普通皮膚に直接触れ、求心性に施術する技術である。 指圧は、徒手で体表の一定部位を押圧し、その圧刺激により生体の変調を矯正し、疾病の予防及び治療、あるいは健康保持増進に寄与する施術である。
    治効理論に関しては、皮膚及び脂肪組織、骨・筋・関節、神経系、循環系、内臓、自律神経および内分泌系、血液、免疫機構等の治効理論が記載されている。
  • Ⅰ.3. 教育・訓練プログラムのガイドライン

    「レベルA」とは高卒者を対象とし、「レベルB」とは高卒の認定資格を持たない18歳以上の人を対象とし、それぞれ、教育目標、履修年限などを定めた。

  • Ⅰ.4. 1)教育、訓練プログラム レベルAの教育内容と参考時間
    (1)基礎分野(120時間)
    (2)専門基礎分野(1260時間)
    A.人体の構造と機能(420時間)
    B.疾病の成り立ちと予防(270時間)
    C.生活と疾病(510時間)
    D.医療と社会(60時間)
    (3)専門分野(1800時間)
    A.基礎あマ指学(180時間)
    B.臨床あマ指学(300時間)
    C.社会あマ指学(120時間)
    D.あマ指実習(420時間)
    E.臨床実習(780時間)
  • Ⅰ.4. 2)教育、訓練プログラム レベルBの教育内容と参考時間
    (1)基礎分野(30時間)
    (2)専門基礎分野(690時間)
    A.人体の構造と機能(330時間)
    B.疾病の成り立ちと予防(120時間)
    C.生活と疾病(180時間)
    D.医療と社会(60時間)
    (3)専門分野(1350時間)
    A.基礎あマ指学(150時間)
    B.臨床あマ指学(210時間
    C.社会あマ指学(60時間)
    D.あマ指実習(420時間)
    E.臨床実習(510時間)
  • Ⅰ.5. カリキュラムのサンプルAB 6.評価、試験
    レベルAでは、基礎医学に関する全般的知識を持った上で、あマ指に関する専門的知識と臨床上の実践的能力を具有すべきである。
    レベルBでは、患者の健康の保持増進をサポートする実力を身につけることを教育の目標としている。
    それぞれ資格試験は、筆記試験のみなので、各教育機関において一定レベルの実技評価を受ける必要がある。
  • Ⅱ.1. 基本的衛生管理
    感染予防のみならず、患者が快適に治療を受けられるようにあマ指師及び施術所は常に衛生を保つ必要がある。 1)手洗い・手指消毒 2)施術所の環境
  • Ⅱ.2. 医療事故、有害事象の防止対策
    あん摩 刺激量に気をつけ、適切な刺激量を選ばなければならない。
    マッサージ
    タルクやオイルを使用するが、アレルギー体質の患者には細心の注意をはらう。 また皮膚摩擦の弱い患者には軽擦法・強擦法は行わない。
    指圧
    不適切な押圧操作により骨折事故を招くことがある。 骨折事故を回避する対策を常に意識してなければならない。
    (1)禁忌 (2)注意を要する施術 (3)事故発生時の対処法
  • Ⅱ.3. 心構えと倫理、おわりに
    1)患者本位のあん摩マッサージ指圧とインフォームドコンセント あマ指師は、患者の理解と協力のもと、患者に最大の益をもたらすよう最善の努力をしなければならない。

    2)カルテの意義と管理 カルテは経過観察するのみではなく、賠償問題等が生じた時、信憑性・客観性が高い証拠となる資料のため必要である。また管理には不特定多数者にみられないよう保管庫などでの管理が望まれる。

    3)守秘義務について 法律において罰則規定がなされている。

    4)賠償保険加入の必要性 今日の日本では賠償保険の必要性が高まり、加入者数が増加している。

    5)日本独自のカバーリング あん摩と指圧は、着衣のまま施術を受け、肌が露出している部分は、「手ぬぐい」でカバーリングして施術を行う。直接、肌に触れないことは患者に安心感と清潔感を与える。 マッサージは、施術部位以外はタオルなどでカバーリングが必要となる。 丁寧なカバーリングは、保温と安心感を与える。

    6)あん摩マッサージ指圧師のマナーと健康管理 エチケット等を守り、患者に不快感を与えないように努める。
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