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Dr.タコの外来小咄 (271号)

高齢の方が人生を振り返って7割の方が後悔するのは「○○しなかったこと」と聞いたことがあります。安全や無難を優先したがもっと挑戦出来たのではないかと。私は最近「冒険遊び場づくり」を始めたのですが、子供は過去と未来を背負ってない分元気で、全てに夢中になる姿は、初心に帰らされます。

認知症と酔っぱらい

「最近物忘れがあるので脳外科に行ったらこの薬をくれたんです」
「これはアルツハイマーの薬ですね。そんなにボケてるとは思えないけど」
「いや、結構物忘れがひどいもんで」
「ただの健忘症と認知症は違うんですけどね」「はあ」
「俺のメガネどこ行ったっけ、なんて僕もやりますけど、認知症がひどいと、娘に向かってあんた誰?とか、オレはまだ昼飯食べてないぞってなる」「ははは」
「第一、自分がぼけてると認める認知症の方はまずいないでしょう。物忘れに気づいている時点で、まだ大丈夫ということです」
「ならいいんですが」
酔っぱらいも「オレは全然酔ってねえぞ」という時点で、もう証明してるのと同じです

モンスター!?

「この子、お腹痛くて吐いたって保健室から連絡があって、帰されてきました」
「どうも熱中症みたいな感じだね」
「水泳大会にバレエの発表会とか、かなり過密なスケジュールなのは確かなんですけど」
「そりゃ大変だ、エライね」
「今日もこれから頑張ってもらわないといけないので、点滴してもらえますか?」
「点滴はいいですが、体が無理だってサインを出してるんです。それを無視するともっとひどい状態になりかねませんよ、我慢しないで無理だって言っていいからね」
(子供は親の夢や希望を託す道具じゃないし、一個の人格として尊重せねば)
いつまでも「気合だー」って子離れのできない親が多すぎます

自然交響楽団

「こないだ有名なオーケストラがきたから聴いてきたけど、素晴らしかったよ。君も聴くことはあるのかい?」
「毎日聴いているよ」
「ああ、CDで聴いてるってことだろう」
「いや、生演奏だよもちろん」「まさか」
「ははは、こうして庭にいて自然の音に耳を澄ますのさ。楽団員は今の時期はコオロギ、鈴虫に小鳥たち、そして木々や風が基調を作ってくれる」
「そういうことね」
この楽団は気前が良くて、いつでもタダで素晴らしい生演奏をしてくれる、すごいのは、途絶えることがないのに、二度と同じ旋律を弾かない

しあわせの算数

「きみ、セロトニンって知ってるだろう」
「ああ、脳内の神経伝達物質で、これが増えると幸せや平和な感じになる、というとこかな」
「興味深い報告があるんだ。たとえばAさんがBさんにいいことをしてあげる、贈り物をしたり手助けしてあげたりとかだね、するとBさんのセロトニンが増える」
「嬉しいだろうからね」
「面白いのがAさんのセロトニンも同じように増える」
「人助けができると自分もなんだか嬉しくなるもんな」
「もっとすごいのがそれを見ている人たちのセロトニンも、同じように増えたそうなんだよ」「へー」
「1引く1はゼロ、じゃなくて1は人にあげると2になり、10にも100にもなる」
幸福は分かち合えば増え続けて無限に供給できるという、まさにしあわせな掛け算なのです

転載:月刊東洋療法 271号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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