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Dr.タコの外来小咄 (274号)

「○活」という言葉が生まれて久しく、就活、婚活、妊活、離活、終活などなど。そもそも人はいろいろな活動をしながら生きているわけで、その一部を切り取って面白く取り上げるのは結構ですが、なによりも生きている「生活」が一番!とわかったようなことを思いついて悦に入るタコなのです。

忙しくて禁煙しているヒマがない

「もう2ヶ月くらいカゼ気味で」「2ヶ月!?」
「ええ、休めないので市販薬飲んでいて、こないだ熱が上がったので救急で薬をもらって、きれたのでまた救急に行って」
「なんか言われたんでしょうね」「ええ、まあ」
「忙しくて厳しい職場なんですな」
「汚いタンが消えないのでそれを何とかしたくて来ました」
「そうですか、ちなみに家に動物は?」「今はいないです」
「まさかタバコ吸わないでしょうね」「・・・吸います」
「そうですか、仕事に関してはなにも言いませんが、子持ちの女性だからあえて一言、しみ、くすみ、シワで老け顔になるしカゼもこじれる、子どもたちにもエライ迷惑だ、百害あって一利もないです」
忙しくてタバコを吸うヒマもないと良いんでしょうけどね

モクヒケン

「テレビを見ていて立ち上がろうとしたら立ちくらみがして、前のことがあるから心配になって来てみました」
「前のことというと?」
「・ ・ ・ 」
「まあいいですけど、血圧は大丈夫なようですね。今はどうです」
「何ともないんですけど、前みたいになったらいやだなと思って」
「で、前のこととは」「・ ・ ・ 」
あなたには黙秘権があります、僕にはないですけどね

言い訳でいいわけ?

「この方お花見中に尻餅をついておしりを痛めてしまって」
「どういう具合になったんです?」
「車いすから立とうとして、その、あのうまく手をつかめなかったというか」
「つかまないで立つわけないでしょう」
「というか、あの」
「正直、そこに全く手落ちがなかったとはいえないじゃないんですか」
「はい」
「べつに犯人捜しをしようとか責めようと言うんじゃないですよ。むしろ言い訳しようとか責任逃れをしようとする姿勢は敏感に感じられるもので、家族なんかはむしろそこに『この人(施設)は信用できないわ』と思うものでしょう」
守ろうとしてかえって失うものの方が大きいと思いますよ

嘆き節だよ人生は

「ほら、腰は曲がっていでえし、まなぐも見えねぐなるし、耳は聞こえねえ、年いげばなんも良いごどねえでば、ホント困ったモンだ!あいしかだね(ああ、しょうがない)」
「そりゃあ大変だなあ、でもまあ元気そうで何よりですよ、なにせもう90だ」
「それでもほら、腰は曲がっていでえしよ」
「まあいつもの注射しましょう」
すると看護婦の前でまた
「よっこらせっと、ほら腰は曲がっていでえし・・・」
現状を嘆くのにエネルギーを使い果たしてしまって回復に回せない、それが「年寄り」でしょうか

転載:月刊東洋療法 274号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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