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Dr.タコの外来小咄 (299号)

昨年を象徴する漢字が「災」だったように、日本はいつどこで災害が起こっても不思議ではないようです。しかし震度5の地震でも軽微な被害で済む都市があるのは日本くらいかもしれません。経験を生かすためにも世界に冠たる防災立国として他国に貢献していく役目を担っているようにも感じるのです。

 

診察か暴行か?

老人ホームの回診です、聴診ではされるがままの方が多いですがなかには抵抗する人も
「なにするんだ!」
「お医者さんが来たんですよ」
「なんだオレを殺す気か」
「違いますよ、急にごめんなさいね」
ある女性は「あらはずかしいわやめて」
「手をどけて下さいね」と看護師
「すいません、こんなに胸を出しちゃって」
「聴診してるからしゃべらないでね」
「ごめんなさい、はい終わりましたよ」
知らない男が来ていきなり胸をはだけられたら、暴力行為ですよね確かに、ある意味正常な反応かもしれません、自宅にいると思ってるんですから

溶けない雪はない

「今年は雪が多くて、3月だっていうのにこんなに残って」
「そうですね」
「毎日雪かきでくたびれるし、なかなか春は来ませんね」
「でもなんだかんだいってだいぶ減ったじゃないですか」
「泥が跳ねて土色になって、下のゴミが出てきて汚いわ」
どれだけの雪も、ここでは必ず全部溶けてなくなります、でも災害の土砂や瓦礫はそのままでは何時までも消えてくれないんですから、ここは我慢しましょうよ

不安は的中する!?

「Kさんどうも肝臓の数値が高いんです、脂肪肝かもしれませんが、何かサプリみたいなの飲んでませんか?」
「じつは何年かプロ○リスを飲んでますけど」
「その副作用か確認するために、しばらくやめてみて下さい」
「えっ、私はこれのおかげで元気が出ると思ってるんです、大丈夫でしょうか」
「あなたがそう思っているなら、その通りになるかもね」
「えっ」
「飲まないと元気じゃないと思っていると、調子が悪いときには、やっぱり飲んでないからだ、とその思いを強くする。だから心配は的中する、あなたの思い通りの世界が展開するわけです」
「そんな、どうしましょう」
マジックの種明かしみたいなもので、もう大丈夫です(たぶん)

あたりまえのありがたさ

町内会の会合で「勝手にゴミを出す人がいる、役所や役員はなにもしてくれない」と文句を並べる住人
スーパーで「あの牛乳がないと困る、いつ入荷するのか」
とレジの若い子に不平を垂れるおじさん
あちこちで被災して不便な状況にある人々のことを思えば、自分たちの「悩み」がいかにちっぽけで、贅沢なものかわかるのに
「TVみて泣くばかりで、自分にはなんにもできない」という人
すくなくともできることがあります「一見なにもない日常がどれほど有り難い奇跡であるかに気づいて感謝すること」

転載:月刊東洋療法 299号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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