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医者いらず健康長寿処方箋(56)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
 ご連絡は下記URLより。
健康科学研究所HP http://www.inouemasayasu.com/seminar/

「猿のパンツとモンローのヒール」

 今日のSNS時代には真偽や重要性と無関係に大量の情報が氾濫し、巷の好奇心を沸き立たせている。ハリウッドのワインスタインを皮切りに多くの名優や著名人がセクハラで非難されたり解雇されている“MeToo”旋風が起爆剤となり、日本でも三流週刊誌やメディアが男女のスッタモンダで巷を騒がせている。多くの人々はその執拗さにかなり食傷してはいるが、この種の記事は一向に衰える気配が無い。その理由はパンツを履いた猿の遺伝子が現代人の基本的設計図であることによる。
 トランプの米国では、思春期までに痴漢やレイプ未遂に遭遇した女性は成人してから再びストーカや痴漢未遂に遭遇する確率が通常よりも約5倍高く、実際にレイプされた女子では再度被害に遭う確率が14倍も高い事が知られている。これに関しては刑務所で服役中のレイプ犯の行動心理を分析した興味深い実験がある。観察者側からしか見えないマジックミラー越しに様々な女性の“歩く姿のシルエット”をレイプ犯に30秒間見せ、彼らが襲いたくなる女性を選ばせた結果、百人中90人以上のレイプ犯が特定の女性を集中的に選んだのである。女性の顔形などは一切見えない実験条件なので、レイプ犯達は“歩き方のシルエット”だけで襲う女性を選んでいることになる。彼らが性的な魅力を感じて獲物として選んだ女性はいずれも不安定な歩き方の女性であった。彼ら曰く、被害女性の多くは“襲われ易さの魅力”を持っており、“履き慣れないハイヒールで歩く時の揺れるお尻や肢体の動きを視るだけでムラッとくる”とのことであった。ハイヒールは女性を美しく見せる定番であるが、自由に歩かせない為の“足かせデバイス”でもあり、フェティシズムの対象物としてもダントツ一位である。何故、レイプ犯には危うげに揺れる歩き方と肢体が強烈な性的刺激となるのであろうか?
 肉食獣が獲物を襲う際には、基本的に動きが鈍くて歩行の危うい幼獣をターゲットとする。これに関しては銀幕で一世を風靡したマリリン・モンローの生き様が参考になる。彼女は“誰がハイヒールを発明したかは知らないが、全女性がその恩恵を受けている”との名言を残している。ケネディ大統領と逢い引きした彼女は、弟のロバートとも関係し、作家アーサー・ミラーと結婚中にもイブ・モンタンの子供を宿したと言われている。この様な放漫な生き方から巷では“セクシーさと知性は相反する”と誤解されているが、モンローはIQが168もあり、緻密に計算してセクシャリティを演出する知能の持ち主であった。彼女は片方のヒールを2 cm程削って左右の高さが違うハイヒールを創らせ、歩く度にヒップが危な気に揺れる“モンローウォーク”を発明した。名画「ナイアガラ」でこのモンローウォークを披露して一躍銀幕にデビューし、セクシー女優として世のオジサマや戦地の兵士達を魅了し続けた。
 ヒトを含む動物の脳は網膜に映る静止画像を直接認識できない。ヒトでは動眼神経で眼球を小刻みに微動させることにより無意識的に静止物を動体として視ているのである。英語ではイヤリングをベイト(疑似餌)と呼ぶ様に、男脳は揺れ動く耳飾りやお尻に反射的に飛び付く様に設計されているのである。回転寿司が世界中で人気食となっている理由の一つにこの視覚特性が関係している。この様な脳の視覚特性は食欲や性欲を無意識下で連携させて遺伝子を継承する本能の基盤にもなっている。“英雄色を好む”と言われるが、色が無意識下で男脳を操作しているのである。危うげに揺れ動く身体のシルエットにレイプ犯が無意識的に反応したのもこの為である。ヒトとチンパンジーの遺伝的差異は1.6%に過ぎないが、この僅かな違いが人類にパンツを履かせて文化を創生させたのである。しかし、この猿人脳は危なげに揺らぐ視覚刺激に晒されると無意識的にパンツを脱ぐように設計されており、そのお蔭でヒトも絶滅種とならずに今日まで生き延びてこれたのである。アムールの文化が熟成した欧米に限らずレイプは犯罪であるが、非婚晩婚少子化が深刻な日本のスッタモンダの大半は社会の掟から逸脱した不倫である。一夫一妻制はキリスト教文明が創生した遺伝子と財産の同時継承システムであるが、世界の6割以上が婚外子である事実は猿脳の設計図がこれに不適合である事を示している。MeToo騒動のグローバル化に対して「昼顔」の名優カトリーヌ・ドヌーブは“ハラスメントと口説きは別物であるが、昨今の様にヒステリックな同調圧が暴走するとアムールの文化まで死んでしまう。男には口説く義務があり、女には口説かれる権利がある”との警鐘を鳴らしている。さて、猿脳の遺伝子と神々の同調圧は今後どの様な落し所に収斂するのであろうか?

転載:月刊東洋療法293号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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