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Dr.タコの外来小咄 (301号)

桜前線が日本を縦断していきました。ソメイヨシノは同じクローンだから地域で同時に咲くそうです。こんなに国土が緑に覆われて川が豊富で、無数の植物たちが季節を彩るという国は、世界でも珍しいでしょうね。砂漠や岩だらけの住人から見たらまさに楽園です。待ちわびた春を満喫するタコなのです。

 

気持ちの温度差

この時期気温の乱高下がすごく、朝はヒーターを入れ
「5月だって言うのに寒いわよねえ」と患者さん
うかうかしていると今度は待合室が暑くなって
「おいおい26度にもなってるよ、調節してね」
看護師はカーディガンを羽織って腕まくり(!?)
枚数を着込むおばあさま達は汗をかいています
次の日は、お昼に25度を超えて真夏日になりました
看護婦は夏用の半袖の白衣に衣替え
温度は同じなんだけどなあ・・・
「季節の変わり目」は気持ちの切り替えが実際に追いついていないということですね

世間体って

「先週の土曜日、胸が苦しくなって、吐き気がしてどうしようかってなっちゃって」
「で、どうしました」
「娘も、救急に行こうっていったんだけど、私はそういうのもいやだしガマンしていました」
「無理しないで受診すればいいのに」
「救急車呼んだらご近所に恥ずかしいじゃないですか」
「!?(こういう人は結構多いです、わかりますけど)今は大丈夫なんですね」
「そうです」
「まあ、結果オーライですが、救急車呼んだところで、なにかに汚点がつくわけでもナシ“あのひとは命がけで世間体を守りました”っていわれてもねえ」
世間様って言いますが探してみると実は「どこの誰でもなく何処にもいない」

10倍返せない

「わたし年のせいで一つ持ってくると一つ忘れると言いますか、補聴器持ってきたと思ったら、血圧手帳忘れてしまいました、すいません」
と言われたのは実は小学校の恩師です
「そうですか、私もかつて忘れ物たくさんしましたが、先生の厳しいご指導のおかげでだいぶしなくなりました。なので、罰として廊下に立っていてください!」
「(ビミョーな微笑)・・・」
「というのは、もちろんジョークですけどね」
(何回廊下に立たされたと思ってるんですか、まったく)
こういうのを「哀しいボケ、突っ込み」といいます

それって自己満足?

「あるとき患者さんにこういわれてね『私がお宅に通っているのはね、何しろ掃除がきちんとしてるから、そこがいいんですの』だって、ありがたいけどね」
「新しいとか、最新設備とか、名医とか言えないしな」
「おいおいそれはないだろう、自分なりによかれと思っていろいろやってきたつもりだけどなあ」
「自己満足だね」
「そういう風に否定的に言うけど、人が喜ぶのを見て満足するのも結局自分なんだからすべては自己満足じゃないのか?」
「どうかなあ、価値観が独善的とかひとりよがりとか」
「じつは僕について言えばこの問題はもうすでに解決済みさ、だって僕の満足はすなわちタコ(他己)満足なんだからねっ!」

転載:月刊東洋療法 301号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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