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医者いらず健康長寿処方箋(80)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

拝啓 安倍晋三 殿

 コロナ禍の候、貴殿におかれましては苦渋の日々をお過ごしの事と拝察申し上げます。
 今年は世界を震え上がらせた新型コロナのパンデミックで日本の国民も先の大戦以来の過酷な日々を過ごしております。この未曾有の国難に対して総理として職責を全うするには極めて強靭な体力と精神力が要求されます。コロナ騒動以外に多くの難題を抱えておられ、思案の末の布マスクやGoToトラベルキャンペーンも野党や地方自治体からの罵詈雑言に曝され、過酷なストレスで心身の健康を何時崩されてもおかしくないと懸念しております。
 私は終戦直後に広島で生まれ、国内で一度も戦争を経験することなく右肩上がりの幸せな研究生活を楽しませて頂けた事を心から感謝しています。その細やかな恩返しとしてコロナ禍で苦しむ政府や国民の被害を少しでも軽減したいとの思いで、世界中の医学論文を読みながら「日本コロナの真相」を解析してまいりました。その結果、「日本人は幼少時から土着の風邪コロナで免疫的軍事訓練を繰り返してきた事、昨年末からは多数の中国人旅行客と共に新型の弱毒コロナが入国して日本中に広がり、2月末には既に日本で集団免疫が獲得されていた事、そのお陰で3月以降の強毒株による死者を欧米の数百分の1に抑制出来た事」が明らかになりました。土着のコロナ株と武漢の新型弱毒株がワクチンの様に作用して交差免疫を発揮したことがファクターXと呼ばれる日本の“神風”だったのです。貴殿も日本人が集団免疫を獲得していた事実を京都大学上久保靖彦教授から説明され、現状を正しくご理解されておられると伺っております。現在、東京都をはじめ全国的にPCR陽性者が増加する最中に「緊急事態を宣言する状況ではない」と医学的に正しい見識を述べられ、多くの反対に抗しながらも反自粛政策である「GoToトラベル」を続行されておられるのもその確信からと拝察申し上げます。一時的な観光業支援策ではありますが、日銭で生活している国民には一縷のカンフル注射にはなるかと思われます。
 武漢患者の病理解剖などで、コロナの感染受容体は特に腸管に多く、腸管免疫や腸内細菌が影響されやすい可能性が明らかになりました。腸内フローラ移植を研究している私は、この論文を読みながら「潰瘍性大腸炎の増悪で第一次安倍内閣が終幕した事」を思い出しました。幸いにも某大学病院で最先端の治療を受けられ、見違える程お元気になられて政権に復帰された時の事を大変印象深く覚えております。古くより“腹の虫が治らない”などと言われてきた様に、“意識は脳に、心は腸内細菌に宿る事”やストレスで腸管免疫系や脳機能が大きく影響される事も明らかにされています。
 今回のコロナ騒動では国民が過酷なストレスに曝され、不毛な過剰反応により人災的被害を深刻化させています。未曾有の国難が続いている最中に国会を閉じ、その直後から貴殿は人前に出られなくなり、臨時国会を開かず、審査会に出席せず、記者会見も行わない「3ない総理」と揶揄されています。広島や長崎の平和式典でも原稿を読み上げた直後に記者会見を振り切る様に帰京された様子を拝見しながら、過酷なストレスにより腸脳病態に罹られた可能性を危惧しております。その様な健康事情にはお構いなく、先日も東京大学の児玉名誉教授が国会で「東京は来週には大変なことになり、8月にはイタリアやニューヨーク並みの惨事になる!」と熱弁を奮われ、北海道大学西浦教授と対談された京都大学の山中教授までが「このままでは10万人が亡くなる可能性がある!」などと発言されて国民を震え上がらせました。しかし、東京では8月を過ぎても何事も起こらず、猛暑の地方都市でも疲弊した蝉時雨が聞こえるのみです。
 新興感染症では予期せぬ事も起こりうるので、WHOの指針を待たずに新型コロナを「指定感染症二類」に指定された政府や厚労省の英断は医学的にも妥当な判断でした。しかし、日本コロナの臨床像が俯瞰的に明らかになった現時点では、「既往歴があり免疫力が低下した高齢者を集中ケアすれば十分であり、新型コロナを指定感染症から除外する事が急務である事」も明白になりました。「指定感染症二類」であるが故に、無害の無症候性PCR陽性者に対してまで過剰対応せざるを得ない法的義務が生じ、医療現場や国民を疲弊させる根本的原因になっています。このままでは今春同様の過剰対応を毎年繰り返さざるを得なくなり、国民に壊滅的被害を与えかねません。
 新型コロナの感染特性を俯瞰的に診た結果、休校措置、緊急事態宣言、東京アラート、三密回避、ソーシャルディスタンス、営業自粛などの有効性は極めて限定的であり、逆に国民を苦しめる元凶である事が明らかになりました。しかし、“失敗は万死に値する”との“恥の文化”が深く根付いている日本では、口が裂けてもこの事実を公表出来ない政府の地雷原となり、“無策政権”と厳しく非難され続けていると拝察申し上げます。
 安倍晋三殿、長い人生では誰しも失敗するものです。失敗しても過ちを直ぐに認めて正しく軌道修正すれば傷口は遥かに軽く治ります。「明けない夜はなく、死なない限り擦り傷である」くらいの死生観なくしては一国の舵取りはできません。お爺様の背中を見ながら政治家を志された貴殿には「オリンピックを花道にしたい」との思いが強いと巷で噂されています。残念ながら、欧米や南半球でのコロナ被害はスペイン風邪並みであり、来年のオリンピックに参加する余力を完全に奪ってしまいました。
 国のトップとして今の貴殿に可能な最高の貢献は、新型コロナを“指定感染症”から一刻も早く除外し、「既に集団免疫が確立している日本ではコロナの脅威は極めて限定的である事、および新興感染症であったが故に過剰反応で国民に多大な迷惑をかけた事を心よりお詫びします」との声明を出される事です。この一言で国民は正常な日常生活を取り戻すことが可能です。この声明は一時的には激しく糾弾されますが、後世では“苦渋の英断をされた日本国の総理”として記憶されます。人間安倍晋三としてこの様な名前を歴史に残される事を一国民として進言申し上げると共に、腸脳相関に深刻な影響を与える人災ストレスからご自身の健康を守られる事を心より祈念申し上げます。
令和2年8月15日
追伸:本コラム校正中に安倍氏が恒例の健康診断で慶應大学病院に検査入院されたとの速報が入りました。無事お元気に退院され、「指定感染症からの格下げ除外」と「上記の声明」で夏休みの宿題を済まされ、ユックリと養生される事を医師としてご助言申し上げます。

転載:月刊東洋療法317号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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