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医者いらず健康長寿処方箋(81)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

【免疫パスポートとコロナワクチン幻想】

 2019年暮れに武漢で誕生した新型コロナウイルスSARS-CoV2は空路で移動しながら瞬く間に地球全体に拡散してパンデミックとなった。人々がインフルエンザに対する免疫力を持っていなかった100年前のスペイン風邪では、世界人口15億人中で5億人が感染して1億人が亡くなった。
 新型コロナに対する免疫力がなかった欧米や南半球では、中国からの強毒株により半年間で約90万人が亡くなられた。新型コロナの死亡率がスペイン風邪より数百倍も低い理由は、栄養状態、衛生環境、医療インフラなどが当時と比べて大きく進歩しているからである。新型コロナの被害は民族により大きく異なり、厳しい国境封鎖やロックダウンを行った国ほど多くの死者を出している。一方、不確かな感染者数に翻弄されながら迷走し続けた日本では、重症者や死者が極めて少ない事を世界は不思議がっていた。これを安部前首相は“日本モデル”の勝利と宣伝し、麻生氏が“日本人は民度が違う!”と迷言して世界を絶句させた。しかし、日本と同様に東アジアの国々でも新型コロナの被害は極めて少なかったのである。その理由は、東アジアに古くから住み着いている土着の風邪コロナによる毎年の免疫的訓練に加え、多数の中国人客と共に入国した新型コロナの弱毒株により集団免疫力が強化(ブースター効果)された事による。日本政府もその事実を認識しており、無症候性のPCR陽性者が激増する最中にも「緊急事態を宣言する状況ではない」と正しい見解を述べ、反自粛政策「GoToトラブル」を確信的に推進している。筆者は前首相への手紙「拝啓 安倍晋三殿」でも、「新興感染症であったが故に過剰反応し、効果の乏しい緊急事態宣言や3蜜回避・8割減で国民に多大な迷惑をかけた。新型コロナを指定感染症二類から格下げすると同時に深くお詫びする」と政権交代時に述べて人災的コロナ禍を終息させる様に進言した。しかし、口が裂けてもその様な真相を明かせないのが日本の政治であり、国民は“GoToキャンペーン”に込められた政府のメッセージを忖度するしかないのである。
 メディアに煽られた恐怖心は極めて根深く、“空気”に支配された自警団や社会的同調圧が予防効果の乏しいマスクや営業自粛を未だに強要し続けている。その為に、今年はお盆の1週間で約1万3千人もの熱中症患者が救急搬送され、約510名が重症化して30名が亡くなられた。同期間中に新型コロナで死亡したのは重症化して入院加療中の高齢者数名のみであった。夏には会社の倒産や廃業が始まり、8月にはコロナ鬱を含む1,849人が自殺し、今後更に増加する可能性が危惧されている。
 今、人々の恐怖心がワクチンに関心を向けさせ、これを追い風に世界中で約170種類ものワクチンが開発中であり、約30種類が臨床試験中である。弱毒化したウイルスや細菌を接種して免疫力を上げる古典的方法と異なり、現代では狙った部位に選択的に作用する抗体を作らせる遺伝子ワクチンが主流であり、開発スピードも桁違いに速くなっている。その開発で第1声を上げたのは中国企業であり、5月のランセットに“ワクチンの安全性が確認された”と宣伝している。しかし、その実体は「死亡例は見られなかったが、発熱、けん怠感、頭痛などの副作用が約50%で確認された」との事である。アストラゼネカ社も欧州で1,000人規模の安全性試験を行っていたが、5月に重篤な神経系の副作用が認められて開発が中断した。この企業のワクチンは安倍前総理が“副作用が出たら日本政府が企業を補償する”との条件で1億2千万回分を優先的に買い付けた置き土産である。
 ウイルス感染やワクチン接種ではBリンパ球由来の抗体と感染細胞を直接排除するTリンパ球の連携プレイが重要である。コロナに対する抗体の血中半減期は約36日と短く、数ヶ月後には低下して検出限界以下になる。しかし、両リンパ球が免疫記憶を保持してくれるので、再感染した際には速やかに活性化されて有効に防御してくれる。子供の頃からコロナ風邪に何度も罹りながら、軽症で直ぐに治るのはこの為である。これらの経験から新型コロナのワクチンもEUや南半球の人々には有用と考えられる。しかし、コロナワクチンの本質的問題は別のところにある。コロナウイルスに対する抗スパイク抗体はウイルスを中和排除しうるが、遺伝子に結合したNタンパク質に対する抗Nタンパク質抗体は抗体依存性感染増強(Antibody-Dependent Enhancement, ADE)と呼ばれる重篤な副作用を起こすことが知られている。死亡率が極めて高いSARSの時にもADEが起こり、17年間もワクチン開発が凍結されている。実は、MERS、エイズ、C型肝炎、デング熱などでもADEの為に未だにワクチンが開発されていない。現在、世界中で開発競争が過熱している新型コロナワクチンは何億人にも接種することになるので、ADEの問題を解決しておかなければ安全に利用できない。これがワクチン排斥運動の基盤となっており、特に日本ではその傾向が顕著である。安全性が十分確認されたワクチンであれば、頻度の少ない後遺症を恐れる必要はないので、物事を俯瞰的に捉えるバランス感覚が大切である。
 新型コロナの脅威は国や民族の免疫的背景により大きく異なり、集団免疫が確立している日本では少し感染力の強い季節風邪のウイルスに過ぎない。生活習慣病などの免疫弱者にはリスクの高いウイルスであるが、これは従来の風邪やインフルエンザでも同じである。今後、高齢者施設や病院での感染予防目的でワクチンや抗体検査などの“免疫パスポート”が必要になる場合もあるが、ワクチン幻想に振り回されずに本当に必要な場合にのみ接種することが大切である。

転載:月刊東洋療法318号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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