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医者いらず健康長寿処方箋(82)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

【コロナ狂騒曲と裸の王様】

 昨年の暮に武漢で発生した新型コロナウイルスは瞬く間に世界中に拡散してパンデミックとなった。その後の10ヶ月で4千万人以上が感染して約100万人が亡くなった。百年前にパンデミックとなったスペイン風邪では、15億人の世界人口で約5億人が感染して1億人が死亡した。当時の人口が5,500万人であった日本でも約40万人が亡くなり、世界中が深刻な被害を受けた。今回の“武漢風邪”の死亡率はスペイン風邪の百分の一以下であるが、これは当時と現代の栄養状態、衛生環境、医療レベルの違いなどが主因である。一方、今回は早い時点から日本や東アジアでの死亡率が欧米や南半球の数百分の一以下である事が判っていた。私はこの事実を基に春以来、“日本と欧米では異なる感染予防対策が必要である”と主張してきた。
 新興感染症では予期せぬ事が起こりうるので、当初は多少過剰反応する事もやむを得ない。しかし、現代の分子医学は僅か数ヶ月間で新型コロナの分子的実態を解明し、今では相当部分が“既知のウイルス”となっている。未だに“未知のウイルス“と不安を煽っている医師や専門家は勉強不足である。解析の結果、新型コロナは“感染力が約6倍強化された季節性風邪ウイルス”であり、感染の受容体が血管のACE2である為に“重症化した場合は血栓症として対応する必要がある事も判明した。今年の夏にはPCR陽性者が全国で激増したが、その大半は無症状で経過した。これは日本全国が既に集団免疫状態にあることを意味する。しかし、新型コロナの実害がほとんど無くなった現在でも、メディアや専門家達は海外の悲惨な映像と無症状のPCR陽性者を“感染者”と誤報しながら国民の恐怖心を煽り続けている。この為、日本ではマスクを外せない一億総ヒステリー状態が深刻化している。某大学教授の“42万人死亡説や三密・八割減”および東大名誉教授の“殺人ウイルス説”や“PCR検査幻想”などが恐怖心を増大させて日常生活を萎縮させ続けている。この傾向はテレビの視聴率が高い地方ほど深刻である。しかし、日本でのコロナ死者数はインフルエンザの十分の1以下であり、その平均死亡年齢は日本人男性の平均寿命より遥かに高い。新型コロナの全死亡者数は正月に餅を喉に詰めて窒息死する高齢者より少ないと言う事実を冷静に判断するバランス感覚を国民から奪ってしまった。新型コロナを未だに“未知のウイルス”と言って恐怖心を煽り続けているメディアや専門家達は現代のA級戦犯である。
 ウイルスの感染防御には免疫系が主役であり、日本での実害が少なかった本当の理由は、3月までに“ 集団免疫が確立されていた事”であった。多くの日本人は小児期から何度も土着コロナに感染してある程度の抵抗力を持っている。土着コロナは新型コロナと約50%の遺伝的相同性を有し、スパイク蛋白の構造も酷似している。この為にスパイク蛋白のN末端に対する抗体は、土着、新型、弱毒、強毒に関係なく、コロナに対して強い交差反応を示してウイルスを排除する。土着コロナに対する基礎免疫力があれば、新型コロナによる被害をある程度防げるのである。事実、2002年に中国で約8,000人が死亡したSARS(死亡率10%)や2012年に中東や韓国で約860人が死亡したMERS(死亡率40%)でも、日本人には一人も死者が出なかった。日本人はコロナウイルスに対する基礎的免疫力を持っているのである。
 日本には昨年末から新春にかけて数百万人もの中国人観光客が来日し、弱毒株に感染した無症状の彼らと“世界一の三密状態”であった。このことがブースター効果として日本人の免疫力を強化し、2月末には集団免疫が確立されていた。その後に強行された休校措置や緊急事態宣言は大いなる空振りであり、“東京アラート”などは傷口に塩を擦り込むに等しい政策であった。今では政府や都知事もその事実を熟知しているが、口が裂けてもそれを口外できないのが日本の政治家である。その為に政府は反自粛政策である“GoToトラべル”を強行し、国民に忖度して欲しいメッセージを出し続けている。しかし、一部の専門家は“集団免疫は単なる仮説に過ぎない”と主張し、テレビ報道でもカットされ続けている。テレビの視聴率が高い地方では、自粛警察による無症状のPCR陽性者に対する村八分的弊害が深刻化している。
 人類の歴史は感染症との戦いであり、永遠の宿敵である病原体を根絶する事は不可能である。我々は彼らとの痛み分け的共存により生き残ってきたのである。日本ではインフルエンザに毎年数千万人が感染し、5,000~1万人が死亡している。古くより“風邪は万病の源”と言われてきた様に、免疫的ハンディーのある有病高齢者は風邪を拗らせると肺炎で亡くなる事が多い。健康な子供や成人も風邪に繰り返し罹るが、大半は軽くて数日で回復する。毎年流行するインフルエンザが桜の季節には収束する様に、新型コロナも類似のパターンで収束する事が予測されている。今年は感染力の強い新型コロナと“ウイルス干渉”のお蔭で、インフルエンザの患者や死亡者が激減し、超過死亡数が1万人近くも減少した。実は、多くの医師や市民は“新型コロナが少し強い風邪ウイルスであること”を直感的に感じており、日本の医学会や大学教授たちもその事実に気付き始めている。しかし、失敗を恐れて誰も火中の栗を拾わず、口を閉ざして国民に事実を伝えない。今や新型コロナは“裸の王様”であるが、その幻影に多くの国民が苦しめられ続けている。“幽霊の正体見たり枯れ尾花”、、、これが“日本コロナの真相”である。

転載:月刊東洋療法319号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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