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医者いらず健康長寿処方箋(83)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

「インフルエンザとコロナワクチン」

 武漢で生まれた新型コロナウイルスSARS-CoV2は瞬く間に世界中へ広がりパンデミックとなり、EUや南半球の国々ではスペイン風邪並みの被害を与え続けている。奇妙なことにインフルエンザなどの感染症と異なり、欧米先進国では厳しい国境封鎖やロックダウンを早々と行った国ほど犠牲者が多い傾向がある。一方、政府が迷走して2月末まで中国人旅行客と世界一の三密状態を誇っていた日本では、死者や重傷者が驚くほど少ない。これを“日本モデルの成果”と安倍前首相が迷言して世界を絶句させた。実はベトナム、カンボジア、インドネシア、台湾、韓国など、東アジアの国々でも日本と同様に驚くほど被害は少ない。しかし、メディアや専門家がこの事実に言及することはほとんどない。実は、日本や東アジアには風邪の病原体として4種類の土着コロナが古くから生息してきた。今回の新型コロナはSARSやMERSに続く7番目の新参ウイルスであるが、お互いの遺伝子や構造は酷似している。この為に土着コロナと共存してきた東アジアの民族はコロナウイルスに対する免疫的抵抗力を有していた。そこに多数の中国人と共に弱毒の新型コロナが上陸し、免疫的ブースター効果により抵抗力が更に強化された。これが日本や東アジアで新型コロナによる被害が少なかった本当の理由である。
 コロナウイルスに対する抗体の血中半減期は約36日と短いが、その免疫的記憶がリンパ球に保存されるために、再感染しても速やかに臨戦態勢を整えて戦ってくれる。“風邪には何度も罹るが、大半は数日で治る”のも免疫的記憶のお蔭である。日本政府も既にこの事実を知っているが、休校措置や緊急事態宣言などが大いなる空振りであった為に本当の事は口が裂けても言えないのである。無症状のPCR陽性者が激増している今夏にも特別な対策をとる事なく、専門家や自治体の反対を無視して“反自粛的政策であるGoToキャンペーン”を強行しているのもこの為である。しかし、メディアに恐怖心を煽られた多くの日本人は、“新型コロナは怖くない”との政府のメッセージを忖度する力を失ってしまった。
 寒い晩秋を迎えて無症状のPCR陽性者が全国的に増加しているが、重症化する気配は見られない。政府の専門家会議は“感染防止のために食事中もマスクを着ける様に“などと戯事を言っているが、感染力が増強した新型コロナは既に日本中に広く深く浸透している。新型コロナは低温低湿の方が遺伝子も安定している事から、土着コロナと同様に“冬の風邪ウイルス”である事が報告されている。へそを出してクーラーの下で寝冷えすると“夏風邪”に罹るのも土着コロナの仕業である。
 PCR陽性者が増加していることからメディアがワクチンの必要性を煽っており、世界中で約170種もの新型ワクチンが開発中である。従来のワクチンでは弱毒化した病原体を接種していたが、近年ではウイルスの遺伝子を接種して免疫誘導する新しい方法が主流になりつつある。通常、何億人もの健常者に接種するワクチンでは、安全性を厳密にチェックする為に最低でも5年以上の期間が必要である。しかし、今回は政治的理由で安全性が二の次にされ、ワクチンを半強制的に接種する空気も創られつつある。新型コロナはSARSウイルスの親戚であり、遺伝子的にも80%類似している。致死率が高いSARSでもワクチン開発が過熱したが、安全性試験で重篤な副作用が見つかり、その開発は17年間中断されている。突然変異が激しいRNAウイルスでは免疫反応が逆に病態を増悪させる“抗体依存性感染増強(ADE)”と呼ばれる現象が起こりやすい。実はMERS、AIDS、エボラ、C型肝炎などでもADEの為にワクチンの開発が断念されており、新型コロナでも重篤な副作用が懸念されている。事実、英国のアストラゼネカ社や米国のJ&J社のワクチンでは重篤な副作用が認められ、前社では開発が一時中断され、後社では断念された。アストラゼネカ社のワクチンは“薬害が生じたら日本政府が補償する”との条件で安倍前首相が優先的使用権を獲得した代物である。今後、新型コロナワクチンの接種に関する副作用の問題で様々なトラブルが生じる可能性が高い。
 巷では今年の冬にインフルエンザと新型コロナの同時感染で医療崩壊する可能性が心配されてワクチンに対する期待が高まっている。しかし、“インフルエンザと風邪は同時に罹らないこと”は古くから知られている。これは先に感染したウイルスに対する自然免疫反応が後続のウイルスを抑制する“ウイルス干渉”と呼ばれる現象である。事実、今年の冬は新型コロナの大流行でインフルエンザの患者や死者が減少し、小児の手足口病も1/100以下に激減した。ウイルス感染とワクチンの接種が同様の免疫反応を誘起するなら、インフルエンザワクチンにより新型コロナの感染も抑制される可能性が高い。事実、イタリアの高齢者ではインフルエンザのワクチン接種率が高いほど新型コロナの死亡率が低下している。新型コロナよりインフルエンザの実害の方が遥かに大きいので、インフルエンザワクチンの接種で両者が抑制されれば一石二鳥である。しかし、新型コロナに対する集団免疫力を既に獲得している日本では、ADEの可能性が高いワクチンに対して慎重に対応すべきである。

転載:月刊東洋療法320号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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