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医者いらず健康長寿処方箋(84)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

「指定感染症とワクチン幻想」

 新型コロナが世界中に広がり1年が経過した。パンデミックの被害は国や地域により大きく異なり、欧米先進国や南半球と比べて東アジアや日本では驚くほど実害が少なかった。これは東アジアに古くから生息する土着コロナに加え、新型変異株の種類、伝搬順序、感染時期などの違いが主因であり、日本へは新型弱毒株が早期に広く深く拡散してコロナの交差性集団免疫が確立されていた。この為に3月初旬に入国した強毒G型株による被害を最小限に抑制することができた。事実、新型コロナに対する抗体やTリンパ球の応答反応から日本人は新型コロナへの交差免疫力を獲得している事が示唆されている。
 当初は新興感染症だったので政府や専門家が初期に過剰反応した事はやむを得ないが、その分子特性や医学的特徴の多くが解明されて既知ウイルスとして科学的に対応可能となった今でも不勉強なメディアや政治家が国民の恐怖心を煽り続けて様々な被害を深刻化させている事は人災以外のナニモノでもない。
 PCR検査は僅かな遺伝子断片を増幅して高感度検出する優れた方法であるが、その濫用が今回のコロナ騒動を深刻化させた一因である。本法は鋳型断片の選択や測定条件が不適切な場合に様々な混乱を生じ、“縄文土器のカケラを見つけて無傷の完全な火焔土器を発見した!”と大騒ぎする様な事になりかねない。この為にPCR開発者のキャリー・マリス博士は“本法を健常者のウイルス診断に利用しない様に!”と明言している。事実、感染力が強く無症候性で潜伏期の長い新型コロナではPCRが大混乱を招いている。日本ではメディアや自称専門家の突き上げによりPCR検査が大幅に増えて陽性者も増加したが、その大半は無症状で重症化率や死亡率はインフルエンザなどより遥かに低い。通常、ウイルスの感染には一定数以上が必要であるが、PCRで35サイクル(Ct値)以上増幅すると偽陽性が激増する。日本で使用されているCt値の40~45では1個のRNA断片でも検出可能となり、コロナの種類、毒性、感染力と無関係に無症候性陽性数を激増させる。新型コロナが“指定感染症2類”に分類されている為に全陽性者を不必要に隔離せざるを得ず、年末には自衛隊医務官の派遣騒動にまで発展した。この様な“人災的非常事態”と反自粛政策の“GoToキャンペーン”が同時進行しているチグハグさを異常と思わない政府や専門家の“コロナ脳”は極めて重症である。
 コロナのインフォデミック人災に翻弄され続けた国民は、“ワクチンさえあれば正常な生活を取り戻せる”との幻想に期待する様になった。現代では費用や開発速度で有利な遺伝子ワクチンが主体であり、家畜では既に利用されているがヒトに接種された例は皆無である。不特定多数の健常者に接種するワクチンでは感染症の重症度や致死率と予防効果や副作用を注意深く比較解析する事が不可欠である。しかし、今回は緊急事態との事で安全性を無視して見切り発車され、年末には英国や米国でファイザー社製ワクチンの接種が開始され、日本も英国アストラゼネカ社、ファイザー社、モデルナ社から合計2億8,000万回分のワクチンを6,714億円で予約購入している。
 実はSARSの時も今回と同様にワクチン開発競争が加熱したが、抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれる深刻な副作用が多発し、以後17年間も開発が凍結されている。今回のSARS-COV2はSARSの弟分である為に類似の副作用が起こる可能性が懸念されている。事実、6月にはアストラゼネカ社の治験が脊髄炎の発症で中断され、11月には米国ジョンソン&ジョンソン社も重篤な副作用で開発を断念した。12月には中国シノバック社のワクチンもブラジルやペルーでギランバレー症候群で神経障害を発症させて治験が中止され、ファイザー社の治験でも2人が死亡している。この様な状況でアストラゼネカ社は早々に治験を再開したが、このワクチンは安倍前首相が“副作用が出たら日本が補償する”との条件で購入した代物である。何故か同社は20年のオリンピック開催前に日本から全代理店を撤退する予定であり、同社のワクチンで重篤な副作用が生じた場合は日本政府が矢面に立たされる事になる。阪大免疫学の宮坂名誉教授は“当面自分には接種しない”と明言し、加藤官房長官も“オレは打たないよ!”と宣われている。プーチン大統領は“国産ワクチンのスプートニクVをフィリピンに無償提供する!”と早い時期から表明してドテルテ大統領を喜ばせたが、ロシアの報道官は“安全性が未確認のワクチンを大統領に接種することはあり得ない”と公言している。新型コロナワクチンのヒト試験が世界的規模で開始された年末に、日本政府は新型ワクチンの為に“改正予防接種法”を成立させた。
 多くの死者を出した欧米や南半球と異なり、集団免疫のお蔭で実害が少なかった日本ではワクチンの有効性よりも安全性の方が遥かに重要である。重症化リスクがゼロに近い学生はしっかり勉強し、60歳以下は普段通に働き、既往歴のある高リスクの高齢者のみが流行期間中に自粛するのが成熟国家の民度である。無症状のPCR陽性者数の増減に一喜一憂して騒ぎ続けているメディアや自称専門家は犯罪的ですらある。京大教授達の「40万人死亡説」「八割減」「10万人死亡説」及び東大名誉教授の「8月の東京はNY並みの惨状」などは蛸壷専門家の妄想であり、小池都知事の「東京アラート」や「三密回避」も壮大な空振りで経済的疲弊を深刻化させただけである。“ウイルス干渉”により複数のウイルスが同時感染する事は極めて稀であり、その為に今年は南半球でインフルエンザが激減し、日本でも患者が1/600に減少して病院が赤字になった。日本人の多くは無症候性弱毒コロナ株でワクチン接種と同様の免疫力を獲得しており、安全性不明のワクチンは極めて限定的に利用すべきである。厚生労働省は“指定感染症2類”を22年2月まで延長する事を決定してしまった。今回の人災被害の大半は“2類を5類相当に格下げする”だけで雪崩式に解消されうるが、その長期延期は“最悪のシナリオ”を国民に押し付ける事になる。日本では毎年約2万人が自殺しており、失業率が1%上昇すると自殺者も約2,500人増加し、今年は既に3万人を超えている。 科学的羅針盤を持たないメディアや政府のツケを国民に払わせる事は正に“GoToトラブル”そのものである。

転載:月刊東洋療法321号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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