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Dr.タコのお気軽クリニック 痛風のはなし 330号

医療従事者として持ち上げられてみたり、医師会のメンバーとして批判されたり、なかなか一筋縄ではいきませんが、タコも漫談ばかりしていると叱られそうなので(?)たまには病気の説明や予防法なんか医者らしいことをしてみねばと思います。名付けて「お気軽クリニック」。 今回は「痛風のはなし」。

 ぶつけたわけでもないのに、ある日突然、足の親指の付け根が赤く腫れあがって激痛が走る。これが典型的な痛風発作です。「風に当たっても痛い」というとおり、激しい痛みが特徴です。原因はたまりすぎた尿酸。尿酸は細胞中の核酸(プリン体)が代謝されて生じた老廃物で、主に尿に排泄されます。溶けにくい性質があり、増えすぎると溶けきれない尿酸が結晶となって身体のあちこちに沈着して悪影響を及ぼすのです。冷えるほど溶けにくいので、足の指先に多く起こります。
 昔はご馳走の食べ過ぎが原因とされ「帝王病」「ぜいたく病」といわれたほどですが、現在では生活習慣病の一つとなり、痛風の予備軍である高尿酸血症(尿酸値7mg/dl以上)は40歳以上の男性の10人に一人いるとされます。痛風はほとんどが男性に起こり、女性には珍しい病気です。女性の尿酸値の平均は男性より1mg/dlほど低いのですが、閉経後は徐々に男性の値に近づきます。
 発作のきっかけは、プリン体が豊富な食品(レバーや肉スープなど)やアルコール類の過剰摂取、疲労、精神的ストレス、けが、感染などです。痛風発作は放置しても1~2週間で治まりますが、再発することが多いのです。
 尿酸の結晶は腎臓などにも沈着し様々な障害を引き起こします。尿路結石が有名ですが、腎障害の原因になるほか、高尿酸血症のひとは高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病などのいわゆるメタボリックシンドロームを合併しやすいとされ、動脈硬化の進展にも関与しているのです。最近は血清尿酸値が高い人は、心血管疾患での死亡(心筋梗塞など)が高くなるという報告もされています。「痛くないから大丈夫」とも言い切れないのです。
 かつては痛風の食事療法というと、尿酸のもとであるプリン体の多い食品の制限が強調されました。ただ食事からとるプリン体の割合はそれほど高くなく、厳格な低プリン体食の食事療法を行っても、尿酸値を1mg/dlほど下げるにすぎないとされます。それでも食事療法は大切です。なぜなら痛風は肥満の人に多く、体重が減れば尿酸値は下がるからです。
 またアルコールはそれ自体尿酸を多く含むほかに、プリン体の生成を促進し、尿酸の排泄を妨げ、脱水を来すのでまさに痛風発作の引き金になります。ですからお酒を減らすのも大事です。尿に捨てられる酸なので十分な水分補給も必要です。牛乳には尿酸を下げる効果が確かめられていて、日にコップ一杯飲むと良いでしょう。また激しい運動はかえって逆効果なので、ウォーキングなどの緩やかな運動がお勧めです。
 発作の治療は鎮痛剤が主ですが、治まってきたら尿酸を下げる薬を検討します。中には高血圧の薬(利尿剤)や腎機能低下、特殊な病気(乾癬、リンパ腫など)で尿酸が増えることもあります。高尿酸血症が黄色信号とすれば、赤く腫れ上がった関節はまさに身体の「赤信号」です。無視し続けると大変です。立ち止まって生活を見直しましょう。

転載:月刊東洋療法 330号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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