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Dr.タコのお気軽クリニック むくみ 331号

通院している方が急に「足が腫れていて心配です」と言われることがあります。外観的には変化なく、多いのが、デイサービスに行ったり、ヘルパーさんがはじめて見たりして「あなた足がむくんでますよ、ちゃんと先生に見て貰った方が良いですよ」というパターン。そこで今回は「むくみ」を考えます。

 朝まぶたがはれぼったい、ふくらはぎに靴下の跡が残る、体重が増えたなど、むくみは割に多い症状の一つです。むくみ(浮腫)とは皮下組織の細胞の外の水分が増えている状態です。
 一人でできる診断法があります、向こうずねを親指の腹で数秒間押して、離したあとに凹みができてすぐ元に戻らない場合にはむくんでいると診断します。
 身体の6~7割は水分で、このバランスが崩れるのには様々な原因があります。局所的な浮腫と全身の浮腫があります。立ち仕事や椅子に座りっぱなしで夕方下肢がむくむのは、生理的(正常範囲内)なものです。
 下肢の筋肉は第二の心臓といわれ、伸縮することでポンプの役割を果たして血液を環流します。歩いたり、ストレッチやマッサージしたりすることが大切です。逆に施設などで寝たきりの方はどうしても足がむくんでしまいます。
 女性は月経前にホルモンの変化でむくみやすくなります。飲み過ぎや塩分のとりすぎでもむくみっぽくなります。これら一過性のものはあまり心配いりません。
 お腹の手術後に下肢がむくんだり、乳癌の術後に腕がむくむのはリンパ浮腫といいます。主治医に対処法を相談しましょう。矯正下着やコルセットでお腹をきつく締めすぎても血液やリンパの流れが悪くなります。長時間の装着はさけましょう。
 一日の体重変化が1.5~2kgあり、他に明確な原因がないものは特発性浮腫といわれ、若年から中年の女性に多く見られます。利尿剤や下剤を服用していた場合が多いようです。また痛みや熱、発赤を伴うむくみの場合は炎症やアレルギーによるむくみが考えられます。
 常に下半身や全身がむくむというのは重大な病気のサインの可能性があります。うっ血性心不全(心臓の力が低下)、腎不全(尿の出が悪い)、ネフローゼ症候群(尿に大量の蛋白が漏れ出る)、肝硬変(蛋白質を作れない)、甲状腺機能低下症(浮腫を来す物質が増加)などで浮腫を来すことがあります。栄養状態が悪くてもむくむため、ガンの一症状のこともあります。
 これらの病気は他の症状を伴うことがヒントになります。心不全では息苦しい(横になると悪化する)、動悸など、肝硬変では腹水(腹部膨満感)、黄疸、多量飲酒歴など、腎不全、ネフローゼ症候群では蛋白尿、高血圧などです。甲状腺機能低下症の場合はまぶたや膝下にはれぼったい感じが出やすく、押してもへこまない浮腫が特徴です。
 まれに薬剤(鎮痛剤、漢方薬など)によるものや、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症によるむくみもあります。このようにひと言でむくみと言ってもいろいろな原因があります。
 治療は主に原因となっている疾患の治療ですが、塩分制限や利尿剤が中心になります。最近は減塩調味料も増えました。軽い浮腫は、塩分を控え、就寝中に下肢を布団1枚分高くすることでかなり消失します(心不全ではかえって苦しくなるので注意が必要です)。入院してすぐに体重が2~3Kgも減る方も多いのですが、日頃の塩分摂取の多さを物語ります。
 当院では患者さんの体重はデジタル体重計で定期的にチェックします。肥満だけでなく浮腫の診断の意味もあるのです。簡単ですから定期的に体重の変化を確認してみましょう。高齢者の下肢のむくみはありがちな症状ですが、なにか病気が潜んでいないか一度は検査をお勧めします。

転載:月刊東洋療法 331号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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