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医者いらず健康長寿処方箋(87)

健康科学研究所所長・大阪市立大学医学部名誉教授 井上正康


 井上正康先生は、癌や生活習慣病を「活性酸素」やエネルギー代謝の観点と、地球や生命の歴史という大きな視野で研究されている国際的研究者です。現在、多くの府県師会主催の公開講座で講演され大好評を博しています。ぜひ貴師会でも!
ご連絡はURLより。 http://www.inouemasayasu.net

「マスク依存症と自粛強要社会の不条理」

 本年も早々に新型コロナ緊急事態宣言が発動され、その延長と飲食業界をスケープゴートにした自粛時短強要が続いている。政府の決断を促した小池都知事に加え、専門家会議の会長が「感染経路の大半は不明だが、飲食店が怪しいと思う」などとエビデンスと反する耳を疑う非科学的発言をされた事で、“本当に彼らが都政の責任者や政府を指導する専門家なのか?自分が何か悪い夢でも見ているのではないか?”と言い知れぬ不安が脳裏を横切った。メディアも相変わらず無意味なPCR陽性者数を発表し続け、スパコン富岳の呼気画像が“口内はコロナの巣窟!”との印象操作で国民を震え上がらせてマスク依存症を増悪させている。今では大都会から田舎の過疎地に至るまで、マスク姿が屋内外の異様な日常風景と化してしまった。他者に感染させない“鼻出しマスク”で排除された受験生や不着用で搭乗を拒否された方々は、行動の如何を問わずマスクヒステリーの被害者である。“幽霊の正体観たり枯れ尾花”ではないが、ヒトの脳は得体の知れないモノに恐怖を感じて忌避行動を起こすようにデザインされているのである。
 吸気と供に侵入するコロナウイルスをマスクで排除する試みは“鶏小屋の金網で蚊の侵入を防げ!”と主張するに等しく、“竹槍でグラマンを落とせ!”と根性論で叫んでいた大戦中の大本営発表と大差がない。一方、鶏が金網で逃げられない様に、咳やくしゃみで飛散する唾液中のウイルスは多少トラップされ、手で顔を頻繁に触る人ではウイルスの移動も減少するので、発症者にはマスクも意味がある。しかし、デンマークで行われた大規模比較試験では、“新型コロナの感染拡大予防にマスクは無効である”とのエビデンスが報告されている。
 実は、食事の度に口腔粘膜には無数の小さな傷が生じており、ここから病原菌が入らない様に唾液中にIgA抗体や様々な感染防御因子が分泌されている。しかも、傷口から毎日数千万個もの活性化された白血球が出てきて口内を常時パトロールしている。戦闘モードの彼らは活性酸素や一酸化窒素(NO)を常に放出しながら病原体を分解排除しているので、不安定なRNA遺伝子などは簡単に断片化されてしまう。日本のPCR検査では40~45サイクルも増幅して感染力のないウイルスのRNA断片を検出して多数の偽陽性数を出している。口腔内での熾烈な攻防戦を1週間近く繰り返した末に傷口から侵入したコロナウイルスは血管壁のACE2受容体に結合して感染する。一方、インフルエンザは気道粘膜のシアル酸を介して感染して短い潜伏期で発症する。インフルエンザとコロナの感染特性の差を理解することが感染予防策の鍵となる。
 ACE2を介して感染する新型コロナの病態の本質は血管炎と血栓症である。従来のコロナ風邪もこじらせると重症化して血栓症などで高齢者の命取りとなっていた。“風邪が万病の源”と言われる所以である。新型コロナは突然変異で感染力が従来の6倍に増強し、インフルエンザよりも感染しやすくなった。感染防御に重要な自然免疫系は、活性酸素やインターフェロンなどでウイルスを排除するので後続のウイルスは感染しにくくなる。“ウイルス干渉”と呼ばれるこの現象のお蔭で今年はインフルエンザが世界的に激減し、小児の手足口病なども1%以下に抑制された。新型コロナはインフルエンザよりも感染力は強いが、風邪と同様の病原性なので大半は無症状で経過するが、免疫力の低下した高齢者ではこれまでよりも注意が必要である。
 繰り返される非常事態宣言と不毛な自粛強要により疲弊した国民は平常心を失い、ワクチンに対して過剰な期待を抱く様になった。従来のワクチンは病原体を用いる死菌ワクチンや生ワクチンなどであるが、今回は大半が遺伝子ワクチンである。遺伝子ワクチンの開発は米国の9.11同時多発テロ後に起こった炭疽菌テロ事件に端を発している。これに危機感を強めたペンタゴンが軍事物資として開発を始め、米国、中国、ロシア、フランスなどで密かに進められてきた。遺伝子ワクチンはどの様な病原体に対しても短期間に低コストで大量生産可能であるが、何故か20年以上も陽の目を見ることはなかった。何億人もの健常者に接種するワクチンには極めて高い安全性が要求され、何年もの開発期間が必要である。しかし、今回はパンデミックで世界中がパニックに陥り、安全試験が無視されて一気に表舞台に躍り出た。この為に安全性が不明の遺伝子ワクチンをいきなり無数の健常人に接種する非常識な人体実験が世界中で進められている。
 昨年秋にEUで新型コロナがミンクに感染し、強毒株の誕生を心配したベルギーなどで全頭が殺処分された。動物のコロナワクチンは古くから研究されてきたが、特に猫コロナでの研究が進んでいる。猫コロナでは腹膜炎が起こるが、ワクチンを接種された全例が2年以内に死亡する事が判明している。18年前のSARSでもコロナワクチンが注目されたが、変異しやすいRNAウイルスでは抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれる致死的副反応が起こり、サイトカインストームで死亡する事からワクチン開発が凍結された。同様の理由からエボラ、エイズ、C型肝炎などのRNAウイルスでも安全なワクチンは未だに開発されていない。遺伝子ワクチン開発の製薬企業はその情報を熟知しており、これが動物実験を省略(或は既知情報を非公開に)してイキナリ接種を強行した理由かも知れない。現在、短期間での副反応が少ないとして接種が継続されているが、血栓症の症例や死者が出て北欧では接種を中断する国が増えている。実は、体内で特異的に合成されたスパイク蛋白質と血管壁のACE2受容体が結合する事により何が起こるかは誰も知らないのである。これが血栓を形成したり、ADEなどの修羅場的副反応への序曲でない事を祈りたい。
 日本では土着コロナによる毎年の免疫軍事訓練に加え、昨年春までに大量の中国人旅行者と共に入国した新型弱毒株で早期に免疫強化訓練を済ませている。土着コロナに毎年暴露し、一年前に中国人旅行客が持ち込んだ弱毒株に2度も無症候性感染している日本人は既にワクチンを数度接種したのと同じ免疫状態にあり、ウイルス干渉でインフルエンザの死亡者を激減させて超過死亡数を世界一少なく抑える事ができた。新型コロナの無症候性感染者ではIgG抗体の体内半減期が約36日であり、感染した1年後には抗体価が測定限界以下になる。しかし、免疫記憶が保存されているので大半の日本人では再感染しても防御反応が速やかに活性化される。この様な理由から、安全性が不明な遺伝子ワクチンを慌てて接種する医学的必要性はどこにも診られない。百歩譲ってワクチンを接種するなら、冬型コロナが元気づく11月頃が意味のある投与時期である。海外でのワクチン争奪戦で安倍前首相が大枚を叩いて購入した遺伝子ワクチンの入荷が大幅に遅れているが、これは国民にとって大いなる福音となるかも知れない。どちらに転んでも販売企業には濡れ手に泡のドル箱となるであろう。
 多くの国民はワクチンさえ接種すれば元の生活に戻れると期待しているが、接種の有無に関わらず新型コロナは感染を繰り返しながら人々の生活に溶け込んでいくであろう。しかし、それまでに人々が失うものはあまりにも大きい。政府が購入した高価なワクチンも備蓄に回し、SARSの様な新型強毒変異株が国内で急増する様な際にのみ限定的に緊急使用する事を提案したい。この不条理に対して医学関係者が口を閉ざして火中の栗を拾わない事は、己の存在意義を無いに等しくするものであり、近代医学史での拭い難い汚点となるであろう。

転載:月刊東洋療法324号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

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