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Dr.タコのお気軽クリニック 「冬のお風呂場は危険!」 334号

じつはタコは警察医(一人暮らしで亡くなられた方などの確認に立ち会う医師)を数年前からさせていただいているのですが、驚いたのは、冬にお風呂場で亡くなる方の多さです。北国に多いのですが、北海道は家の中が暖かいためか、東北のような古い家に多いようです。また防げる危険に対処編です。

 あまりニュースにはなりませんが、2011年には約1万7,000人もの人々が入浴中に亡くなったとみられ、これは交通事故による死者数を大きく上回ります。
 特に外の気温が低くなる12月から1月にかけて、もっとも少ない8月のおよそ11倍に急に増加するともいわれます。自宅での入浴中は勿論ですが、温泉や宿泊施設でもあり得ます。私もかつて温泉施設で、目の前で具合が悪くなり救急車で運ばれた方を見たことがあります。「健康ランドなのに」と皮肉に思いました。
 原因として「ヒートショック」という言葉が知られるようになりました。居間には暖房がありますが、廊下や脱衣所は寒いことも多く、そこで裸になり熱い浴槽に入る。この急激な温度変化が短時間に起こり、血圧が急に上昇したり下降したりするのです。
 それが引き金になって、脳梗塞や脳出血のいわゆる脳卒中、失神による溺水、心筋梗塞や危険な不整脈を起こして、冬の入浴中の突然死の原因になるのです。命取りにならずとも、めまいや立ちくらみで転んで怪我をする原因にもなります。
 高齢の方や、高血圧、心臓病など、持病をお持ちで動脈硬化の進んでいる方が特に危険ですが、健康な方も油断はできません、お酒を飲んで酔った状態で具合が悪くなることも多いのです。雪国は熱いお風呂に入るのが好きな方が多い。皆さんあまり自覚していませんが、雪かきもそうですが、冬の入浴というのはかなり身体に負担のかかる重労働なのですね。
 危険な要素としてあげられるのは、①高齢者、②高血圧・心臓病などの持病がある、③肥満、④部屋の温度差が大きい、⑤熱い風呂が好き、⑥飲酒後の入浴、などです。
 では対策です。①できれば暖房器具であらかじめ脱衣所を暖めておく、②浴槽のふたを開けたり、浴室の壁や床に温かいシャワーをかけたりして浴室を暖める、③湯船に入る前に手足の末端からかけ湯をする、④いきなり肩までお湯につからない(まずは半身浴)、⑤入浴時間は長すぎず短かすぎず、⑥湯船から出るときはゆっくりと立ち上がる、⑦飲酒後の入浴は避ける、⑧入浴後だけでなく入浴前にもコップ一杯の水分を補給する、⑨なるべく一人の時には入浴しない、などです。
 大事なことは、お年寄りと同居されているご家族も、入浴中に様子を見にいったり、声かけをしたりしていただくことです。ちょっとした気遣いで命に関わるような重大な事故を防ぐことができるかもしれません。
 皆様が安心安全に健やかに冬を過ごされ、警察医が呼ばれる回数が減ることを願うこの頃です。

転載:月刊東洋療法 334号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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