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Dr.タコのお気軽クリニック 「黄砂にご注意!」 336号

 原発事故以来、放射能の観測値を気にしている方も多いことでしょう。そして、日本各地で微量ながら放射能が検出されることに驚かされます。以前から観測される放射性セシウム137は大陸由来のものがあり、これに黄砂が関与していることが確認されています。

 春になると車体や干したシーツが黄色いホコリで汚れることに気がつきます。これが黄砂です。黄砂は大陸内陸部の砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。黄砂は乾燥と共に飛来量が増加するため、温暖化による地球の砂漠化も黄砂増加の要因の一つかもしれません。
 気象状況により変動しますが飛来は比較的長期にわたり、3月から5月にかけて多く、西日本だけでなく広く全国各地で、量に違いはありますがほぼ一年中みられます。自然現象ですが、視界不良や汚染の他に、土地や森林への影響、さらには大国の公害が加わることにより、人体への影響が問題視されています。
 黄砂自体は直径4ミクロンほどで、スギ花粉の30~40ミクロンに比べてとても小さく、それ自体はアレルギー物質ではないとされます(PM2.5は2.5ミクロン)。しかし「黄砂アレルギー」といわれる様々な症状を引き起こします。飛来する途中で付着した細菌やカビの死骸、金属、化学物質が引き金になると考えられていて、花粉症と同じように目や鼻、気管支、皮膚などに、アレルギー性の結膜炎や鼻炎、さらには喘息のような症状を引き起こします。春はスギ・ヒノキ花粉症と重なって症状が酷くなる人もいるようです。
 肺の奥まで入り込むため、大気汚染物質(窒素酸化物や硫黄酸化物など)が付着して、これを吸い込むことにより気道を刺激し、咳や痰、喘息などの呼吸器症状を引き起こしている可能性があります。実際、中国や韓国では気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増加が問題となっているのです。
 日本でもこの時期、鼻汁、肌の荒れやかゆみのようなアレルギー症状や、風邪のような喉の痛み、頭痛、熱、また風邪を引いた後、しつこい咳に悩まされる方も多いようです。花粉症とも重なり、因果関係の証明は難しいのです。しかし放射性物質と同様、目に見えないこと、持続的にさらされる蓄積効果などを考慮して、早めに個人で対策することは無駄ではないでしょう。
 対策としては屋外でのメガネやマスク(N95というウイルスにも有効なものがお勧めです)のほか、飛散が多いときはシーツや布団、枕カバーを外で干さない、肌の露出を控えて入浴やシャワーで洗い落とすなどです。室内に黄砂を持ち込まないようにして黄砂に触れる機会を減らしましょう。換気は逆効果ですが、新型コロナ・花粉症対策に準じるイメージで良いと思います。もちろん掃除や禁煙も大事です。
 黄砂の飛散状況は気象庁のホームページなどで確認できます。過度に怯える必要はありません。想定して対策を行い、あとは身体を養生しながら元気に暮らしましょう。

転載:月刊東洋療法 336号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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