トップ > お知らせ一覧 > Dr.タコのお気軽クリニック 「睡眠薬との上手な付き合い方」 337号

Dr.タコのお気軽クリニック 「睡眠薬との上手な付き合い方」 337号

「春眠暁を覚えず」といいますが、この季節でも眠れずに睡眠薬や安定剤を飲む方は多くおられます。漫然とやめられずに飲み続ける方もいる一方で、睡眠薬に対する偏見や恐怖感も強いものを感じます。そこで不眠がテーマです。

 8時間眠らないと身体に悪い、とこだわる方もいます。そもそも年齢とともに睡眠時間は短くなり、季節や運動量でも変化します。「朝の目覚めが爽やかで疲労感がない」ならば睡眠は足りているハズです。
 高齢者の4割以上に睡眠障害があるという報告もありますが、全てが不眠症とは限りません。「7時に寝て夜中2時に目が覚めるので不眠」という方も居ます。7時間寝ている計算ですが、夜中に一人で起きていると「余計なことばかり考えてしまいイヤだ」というのが正直なところかもしれません。
 「休養にならない睡眠、つまり入眠・熟眠障害が一ヶ月以上続き、業務上および社会的に支障を来す場合」が不眠症の定義なのです。実際「昼間眠くなりますか?」とお聞きすると自分は3時間睡眠という人も「平気です」と?!
 一口に睡眠障害といっても様々です。寝つきが悪い、夜中にたびたび目覚める、起きたい時刻よりも2時間ほど早く目覚め以後眠れない、目覚めたときにぐっすり眠った気がしないなどです、あなたはどのタイプですか?
 睡眠薬は効果が現れるまでの時間や持続する長さが異なり、不眠のパターンや年齢に合わせて使用します。眠れないといって、奥様の薬を飲んで、反応がなくなり救急車を呼ばれた人もいました。ですから睡眠薬を他人にあげたりもらったり、勝手に量を増やしてはいけません。
 最近の睡眠薬は正しく使えば安全なものも多くなりましたが、急に中止すると副作用が現れることがあります。医師に相談の上で減量・中止してください。睡眠を妨げていた要因がなくなり睡眠薬をやめることへの不安が減ってきた頃が自然な睡眠薬のやめ時です。
 やめ時を見失うと、施設の高齢者で良くありますが、一日中傾眠がちなのにいくつもの睡眠薬を飲んでいる状態になりがちです。
 寝起きが悪い、日中ぼんやりする、頭が重い、ふらつくなどは、睡眠薬の副作用かもしれません。またアルコールと一緒に服用すると転倒や健忘などの副作用が現れやすくなります。逆に「お酒を飲んで寝る」睡眠は、眠りが浅い、トイレが近くなる、飲酒量が増えるなどの問題もあります。
 不眠の患者さんの4~5人に一人はうつ病の可能性があるといわれ、うつ病の患者さんのほとんどが不眠を訴えます。重大な病気が潜んでいることもありますので、油断できません。
 薬の副作用で不眠になることは意外と知られていません。心不全、慢性閉塞性肺疾患、胃食道逆流、むずむず脚症候群、などの病気によっても睡眠障害が起こる場合があり、これらを見逃さないことも大事です。十分寝ているはずなのに日中の眠気が強く、いびきや肥満を伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあり、専門医の診察が必要です。
 生活習慣も見直しましょう。就寝前は過剰な水分、食事、刺激物(タバコ、コーヒー、お茶、チョコなど)を摂らない。テレビ・ラジオは遅くまで視聴しない。夜中に何度も時計を見ない。あまり早く床につかず眠くなったらつけばいいと気楽に考える。昼過ぎに眠くなったら我慢しないで20~30分昼寝することで睡眠のリズムを整えることができます。
 入浴・ヨガやストレッチなどリラックス法も有効です。太陽光を浴びると十数時間後に睡眠ホルモンが働く仕組みがあるので「早寝早起き」でなく「早起き早寝」が正解です。朝は外に出て太陽の光を浴びましょう。一晩で疲れた心身をリフレッシュしてくれる睡眠とはなんと素晴らしい仕組みでしょうか。薬を上手に利用しながら、快い自然な睡眠を取り戻しましょう。

転載:月刊東洋療法 337号
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

PAGETOP