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 「Dr.タコのちょっとエッセイ」 353号

タコが妙なご縁でここに小話を載せさせていただいて、はや12年になりました。いままでご覧いただき感謝です。ここらでタコの自己(他己?)紹介です。閑話休題みたいなものです(ネタがないとか突っ込まないでね)。まずはタコの好きなものを紹介します。


◆温泉めぐり
 温泉と言っても、日帰り入浴可能な近場の湯ばかり。ただ、タコの田舎は市内だけで温泉巡りマップができるほど、小さな温泉に恵まれています。探してみると、ブラっと立ち寄れる日帰り温泉は20以上もありました。
 銭湯より安く150円から300円で入れます(さすがに最近は500円のところもありますが、都内のスパに比べたら夢みたいな値段です)。最初はよそ者だしなどと思いましたが、しょせんは裸同士。気を使わず湯を使うことにします。
 どこの湯も、地元の共同浴場かつ社交場です、先輩諸氏がおのおののペースで湯や会話を楽しんでいます。
 新緑の頃、露天の湯で春風にあたり、紅葉の頃、秋空を眺めながらしばし陶然とする。有名温泉の高級旅館でご馳走に舌鼓を打って大浴場に、というのも良いですが、昼間からはだかで湯に浸かるのはこの上ない贅沢なのです。まちはすべて大人の遊び場だ、と気づきます。
◆食堂めぐり
 お昼時に散歩がてらつらつら探し、食堂を見つけるとブラっと入ってみます。予想通りの雰囲気、あるいは時代を感じさせる物達があったり、新装開店の創意工夫があったり。自分のホームページで紹介するようになり、町中を網羅してやろうと一時意地になりました。
 当初は自分の足が頼りでしたが、最近は同好の士も多くブログで新しい店やおいしい店を紹介してくれるので、そこにもアンテナを張っておきます。
 新しい店はほとぼりが冷めてから訪ねます。どんな「敷居の高い」店構えのドアでも開ける度胸は着きましたが、行列に並ぶのは大の苦手なのです。
 新しい店ができては消え、老舗もいつの間にか店じまいしていたり、ネパール人のカレー屋や脱サラのラーメン屋が出現したり、ドラマチックで面白い移ろいがあります。
 おすすめの店は?と聞かれると困ります、グルメとは違うのです。ストライクゾーンはかなり広い、いやボール球はないかもしれません。昔ながらの大衆食堂のラーメンが一番だったりします。常連客とのやりとりに耳を澄ませたり、店長と一対一の微妙な緊張感を楽しんだり、全てを味わい尽くします。
 昨今、グルメとは一筋違う町中華などのTV番組が増えているようです、やはりサラリーマンから肉体労働者まで、お昼を演出してくれる地味な食堂は、いろいろなドラマを秘めているのですね。タコの診療所もそういう味のある場所になりたいものです。
◆焚き火
 「趣味は?」と聞かれたらこう答えます。鉄製のゴツいのから最近はシンプルで簡単に組み立てられる焚き火台があります。土曜の午後や気持ちのいい夕方、庭の枯葉や枝木を集めます。最初は着火剤も使っていましたが、要領が良くなりすぐに火がつくようになりました。
 子供たちが枯葉を集めてきて、うちわで仰いで一緒に遊ぶこともありましたが、最近は一人庭につくねんとしています。煙そうな顔で窓を閉めるかみさんには気がつかないことにします(ゴメンなさい)。
 焚き火の目的は、焚き火です。ただ燃やす、燃えるものを見ている。炭のようにいい感じに熾きてくる。夕焼けがいつの間にか星空になり、星のようにチラチラと瞬く炎がそこにある。
 物が燃えてなぜ炎になるのか、そういえば子供の頃「ロウソクの科学」を読んだっけ。いまでもわからない。でもそれでいいのだ。焚き火を囲んでいた人間の頃のDNAが反応するのかな。あれ、またこんなにビール飲んじゃった(ビールも好きな物の一つでした)。

転載:月刊東洋療法353号
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会

Dr.タコ  昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

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